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健康障害防止と特化則について | セラミックファイバー炉,工業炉,設計施工

粉じん障害防止規則等との関連

粉じん障害防止規則等の適用の有無

リフラクトリーセラミックファイバーは、鉱物(人工物を含む)の一種であること、また、耐火物として使用される場合があることから、リフラクトリーセラミックファイバー等を製造し、又は取り扱う業務のうち一部の業務については、粉じん障害防止規則
(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」といいます)別表第1に規定する「粉じん作業」及びじん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)別表に規定する「粉じん作業」に該当します。
このため、このような業務については、今回の改正政省令の規定に加えて、粉じん則並びにじん肺法(昭和35年法律第30号)およびじん肺法施行規則の規定が適用されます。

 

<じん肺法、じん肺法施行規則の主な内容>
発散抑制措置、特別教育、休憩設備、清掃、作業環境測定、呼吸用保護具
<粉じん則の主な内容>
健康管理(じん肺健康診断、管理区分の決定、作業転換)


<健康診断についての留意事項>
上記のような場合、特化則に基づく健康診断の規定及びじん肺法に基づくじん肺健康診断(以下「じん肺健康診断」といいます)の規定の両方が適用され、それぞれの健康診断を実施しなければなりません。


ただし、これらの健康診断の検査項目のうち次の項目は同一の検査であることから、特化則に基づく健康診断とじん肺健康診断を同時期に行う場合には、これら2つの健康診断でエックス線写真を共用することができます。


ア 特化則健康診断の「胸部のエックス線直接撮影による検査」
イ じん肺健康診断の「エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう)による検査

◆なお、特化則に基づく健康診断とじん肺健康診断では実施頻度が異なり、前者は6月以内ごとに1回であるのに対し、後者はじん肺管理区分等に応じて3年以内ごとに1回又は1年以内ごとに1回であるのでご注意ください。

003

 

1)◯は適用有り、▲は一部の作業・設備についての適用有り
2)「特」は特化則の適用を受ける場合有り
3)「(特5)」は特化則第5条第1項ただし書を適用して同項第2条の対応を行うに限り適用有り
4)「(特)」は一部の作業(特化則第38条の20第2項各号の作業)について適用有り
5)(※)は、呼吸用保護具の備え付けの義務
6)(※※)は、呼吸用保護具の備え付けのの義務及び一部の作業について仕様の義務

リフラクトリーセラミックファイバーの健康障害防止対策

平成27年11月、表示対象物、特定化学物質の管理第2類物質に位置づけられるとともに、特別管理物質になりました。

主な有害性
(発がん性、その他の有害性(GHS区分1のもの))
性状用途の例
リフラクトリーセラミックファイバー※
発がん性:国際がん研究機関(IARC)

2B(ヒトに対する発がんの可能性がある)
その他 :特定標的臓器毒性(反復ばく露)呼吸器
無臭の繊維状の固体、平均繊維径2~4μm(1000℃を超えるとクリストバライトとなる)。
シリカとアルミナを主成分とした非晶質の人造鉱物繊維。
炉のライニング材、防火壁保護材、高温用ガスケット・シール材、タービン、絶縁保護材、伸縮継手への耐熱性充填材、炉の絶縁材、熱遮蔽板、耐熱材、熱によるひび、割れ目のつぎあて、炉・溶接+溶接場のカーテン

※アルミナファイバー(アルミナ繊維)(CAS No.675106-31-7)、アルカリアースシリケートウール(AES繊維)(CAS No.436083-99-7)等は含まれない。

容器・包装への表示(ラベル)案衛法第57条、案衛則第30、32、33条

リフラクトリーセラミックファイバー、これを重量の1%以上含有する製剤その他の物を容器・包装に入れて譲渡、提供する場合は、容器・包装に次の事項の表示が必要です。

1名称 2成分 3人体に及ぼす影響 4貯蔵または取扱い上の注意 5氏名(法人にあってはその名称)、住所、電話番号 6注意喚起語 7安定性及び反応性 8標章

※主として一般消費者の生活の用に供するためのものは除外
※平成27年11月1日時点で既に存在する物については、平成28年4月30日までは適用除外
※平成28年5月31日以前に譲渡し、又は提供する場合は、改正労働安全衛生法(平成26年法律第82号)
施行前の規定に基づく上の1~8の表示事項が必要

文書の交付等(SDS)
(安衛法第57条の2、安衛則第34条の2、34条の2の4)

リフラクトリーセラミックファイバー、これを重量の0.1%以上含有する製剤その他の物を提供する
場合は、安全データシート(SDS)の交付などにより次の事項の通知が必要です。

1名称 2成分及びその含有量 3物理的および化学的性質 4人体に及ぼす作用
5貯蔵または取扱い上の注意 6流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
7氏名(法人にあってはその名称) 、住所、電話番号 8危険性または有害性の要約
9安定性及び反応性 10適用される法令 11その他
※主として一般消費者の生活の用に供するためのものは除外

特定化学物質としての規制の対象となる作業と含有率
(特化則第2条の2)

◆リフラクトリーセラミックファイバーと、これを重量の1%を超えて含有する製剤その他の物
(以下「リフラクトリーセラミックファイバー等」という)が対象

◆リフラクトリーセラミックファイバー等を製造し、または取り扱う作業(以下「リフラクトリー
セラミックファイバー製造・取扱作業」という)が規制の対象

<適用除外作業>
バインダーにより固形化された物その他のリフラクトリーセラミックファイバー等の粉じんの発散を防止する処理が講じられた物を取り扱う業務(当該物の切断、穿孔、研磨等のリフラクトリーセラミックファイバー等の粉じんが発散するおそれのある業務を除く)
※[容器・包装への表示]については安衛則で規定されているため、適用除外となりません。

発散抑制措置等 (特化則第5,7,8,29,30,32,33,34の2,35条)
(安衛則第85,86条)

リフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業について、リフラクトリーセラミックファイバーなどから発散する粉じんに労働者がさらされること(ばく露)を防止するため、次の措置をとることが必要です。

1 対象物の粉じんが発散する屋内作業場での発散抑制措置
2 局所排気装置及びプッシュプル型換気装置の性能要件、点検、届出等

 

■1.対象物の粉じんが発散する屋内作業場(特化則第5条)
1)発散源を密閉する設備、局所排気装置またはプッシュプル型換気装置を設けること
2) 1)の措置が著しく困難なとき、または臨時の作業を行うときは、全体換気装置を設ける等
労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講じること

2.局所排気装置及びプッシュプル型換気装置の要件、点検、届出等

1)構造、性能等について一定の要件を満たす必要があること(特化則第7,8条)
(局所排気装置の抑制濃度は、リフラクトリーセラミックファイバー(5μm以上の繊維として) 0.3f/cm3)
※粉じん障害防止規則で定める制御風速を下限とし、当該制御風速においてリフラクトリーセラミック ファイバーの濃度が抑制濃度を上回った場合は、抑制濃度以下になるまで性能を高めるものとする。

2) 定期自主検査、点検を行うこと(特化則第29,30,32,33,34の2,35条)
3) 設置計画の届出(安衛則第85,86条と別表第7)
(設置・移転・変更しようとする日の30日以上前に届出が必要です)

※2-3)以外は平成28年11月1日から義務化。
ただし、平成27年11月1日~平成28年10月31日に製造・取扱い設備を新設する場合は、新設する時点から。2-3)の届出は、発散抑制設備を平成28年1月31日までに設置・移転・変更しようとする場合は不要

  • 001
  • 002

作業主任者 特化則第27、28条

リフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業では、作業主任者を選任し、次の事項を
行わせることが必要です。
※試験研究のため取り扱う作業を除く

◆「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任(特化則第27条)

◆ 作業主任者の職務(特化則第28条)

1 作業に従事する労働者が対象物に汚染され、吸入しないように、作業の方法を決定し、
労働者を指揮すること

2 局所排気装置、プッシュプル型換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防する
ための装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること

3 保護具の使用状況を監視すること

特殊な作業等の管理 特化則38条の20

リフラクトリーセラミックファイバーを用いて次の作業を行うときには、リフラクトリーセラミックファイバーの粉じんの吸入を防止するため、有効な呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣の使用が必要です。

  • リフラクトリーセラミックファイバー等を窯、炉等に張り付けること等の断熱又は耐火の措置を
    講じる作業
  • リフラクトリーセラミックファイバー等を用いて断熱または耐火の措置を講じた窯、炉等の補修の作業(前号及び次号に掲げるものを除く)
  • リフラクトリーセラミックファイバー等を用いて断熱又は耐火の措置を講じた窯、炉等の解体、破砕等の作業(リフラクトリーセラミックファイバー等の除去の作業を含む)
    また、上記作業を含むリフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業を行うときには、毎日1回以上、掃除する必要があります。

    さらに、上記作業を行うときには、作業場所を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離するか、
    隔離することが著しく困難である場合には、付近で上の1~3の作業以外の作業に従事する労働
    者がリフラクトリーセラミックファイバー等にばく露することを防止するため、以下のいずれか
    の対応を行うがことが必要です。

  • リフラクトリーセラミックファイバーの粉じんをばく露するおそれがある作業場所において作業に
    従事する労働者に適切な呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を着用させること。
  • 可能な場合には湿潤化措置

呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣

上の1~3の作業を行う際に、次の呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣の使用が必要です。

◆100以上の防護係数が確保できる呼吸用保護具であること。例えば以下のものが含まれる。

  • 粒子捕集効率が99.97%以上の全面形の面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具
  • 粒子捕集効率が99.97%以上の半面形の面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具のうち、漏れ率が
    1%以下(電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)で定める漏れに
    よる等級がS級又はA級)であって、労働者ごとに防護係数が100以上であることが確認されたもの
    (日本工業規格T8150の方法による)

◆「作業衣」は粉じんの付着しにくいものとすること。「保護衣」は、日本工業規格 T8115に定め
る規格に適合する浮遊固体粉じん防護用密閉服が含まれること。支持金物等に接触し作業衣等が破れるおそれがある場合には、支持金物等に保護キャップやテープを巻くなどの対策を行うこと。

リフラクトリーセラミックファイバーの特別規制(作業ごとの措置事項)

<作業の種類>

  1. リフラクトリーセラミックファイバー等を窯、炉等に張り付けること等の断熱又は耐火の
    措置をとる作業
  2. リフラクトリーセラミックファイバー等を用いて断熱又は耐火の措置をとった窯、炉等の補修の
    作業(1と3を除く)
  3. リフラクトリーセラミックファイバー等を用いて断熱又は耐火の措置をとった窯、炉等の解体、破砕等の作業(リフラクトリーセラミックファイバー等の除去の作業を含む)
  4. 1~3以外の製造、取扱いの作業
(条文)
第38条の20
規制内容作業の種類分析方法
第1項 作業場の床等は、水洗等によって容易に掃除できる構造のものとする
粉じんの飛散しない方法で毎日1回以上掃除をする。
第3項
第1号
作業場所をそれ以外の作業場所から隔離する。
(隔離することが著しく困難である場合)
1)別の作業場所で作業に従事する労働者に適切な呼吸用保護具等を
使用させる。
2)湿潤化措置
 
第3項
第2号
労働者に有効な呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させる。  
第4項
第1号
リフラクトリーセラミックファイバー等の粉じんを湿潤な状態に
する等の措置
     
第4項
第2号
作業場所にリフラクトリーセラミックファイバー等の切りくず等を
入れるためのふたのある容器の配備
     

その他の措置 特化則12条の2、24条、37条、38条~38条の4、43~45条、53条など

  • 有効な呼吸用保護具等を備えること(特化則第43~45条)
  • ぼろ等の処理(特化則第12条の2)
  • 設備の改造等の作業時の措置(特化則第22条、第22条の2)
  • 関係者以外の者の立入禁止措置(特化則第24条)
  • 適切な容器の使用等(特化則第25条第1項から第4項まで)
  • 取扱い上の注意事項等の掲示(特化則第38条の3)※
  • 作業を記録し、30年間保存すること(特化則第38条の4)※
  • 休憩室、洗浄設備の設置(特化則第37条、第38条)
  • 喫煙、飲食の禁止(特化則第38条の2)
  • 事業廃止時の記録の報告※(特化則第53条)

※特別管理物質としての措置

作業環境測定 特化則第36~36条の4

リフラクトリーセラミックファイバー等を製造・取り扱う屋内作業場では、作業環境測定と
その評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要です

◆6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定士※(国家資格)による作業環境測定を実施
※分析は1号(粉じん)の資格を持つ第一種作業環境測定士資格を有する測定士が実施
◆結果について作業環境評価基準に基づいた方法で評価を行い、評価結果に応じて適切な改善が必要
◆測定の記録及び評価の記録は30年間保存


物質名管理濃度試料採取方法分析方法
リフラクトリーセラミックファイバー 5μm以上の繊維として0.3f/cm3 ろ過捕集方法

位相差顕微鏡を用いた計数法※

※分散染色法など同等以上の性能がある分析方法によって分析することもできます。

健康診断 特化則39~42条

リフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業に常時従事する労働者に対して、健康
診断を行うことが必要です。

◆対象物の製造・取扱い業務(リフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業に限る)に常時従事する労働者【業務従事労働者】に対し、雇入れまたはこの業務への配置替えの際とその後6か月以内ごとに1回、定期に規定の項目について健康診断を実施
◆過去にリフラクトリーセラミックファイバー製造・取扱作業に常時従事させたことがあり、配置転換して現在も雇用している労働者【配置転換後労働者】についても同様に健康診断を実施
◆対象物が漏えいし、労働者が汚染された時又は労働者が対象物を吸入した時は医師による診察または処置を受けさせる。
◆健康診断の結果(個人票)は、30年間の保存が必要
◆健康診断の結果を労働者に通知
◆特定化学物質健康診断結果報告書(様式第3号)を労働基準監督署長に提出

■リフラクトリーセラミックファイバーの健診項目
※は業務従事労働者の検診のみで実施する項目

<一次健診>
1 業務の経歴の調査(※)
2 作業条件の簡易な調査(※)
3 喫煙歴及び喫煙習慣の状況に係る調査
4 他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
5 他覚症状又は自覚症状の有無の検査
4、5の具体的内容:せき、たん、息切れ、呼吸困難、胸痛、呼吸、音の異常、眼の痛み、皮膚の刺激など
(急性の疾患に関する症状(下線部)については、業務従事者健診のみ)
6 皮膚炎等の皮膚所見の有無の検査(※)
7 胸部のエックス線直接撮影による検査

<二次健診> (一次健診の結果、医師が必要と認める場合に実施)
1作業条件の調査(※)
2医師が必要と認める場合に行う項目
・特殊なエックス線撮影による検査
・肺機能検査
・血清シアル化糖鎖抗原KL-6の量の測定又は血清サーファクタントプロテインD(血清SP-D)の検査等の血液生化学検査
・喀痰の細胞診
・気管支鏡検査